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2023-11-9

外来担当表を更新しました

2021-6-7

発表論文を更新しました

2020-2-20

発表論文を更新しました

 

2019-7-25

発表論文を掲載しました

2018-4-1

外来担当表を更新しました

2016-11-20

腎機能の低下した方の頚動脈狭窄症治療を追加しました。

2014-12-1

CEA成績を更新しました。

2013-5-21

CEA成績を更新しました。

 

 

梗塞の外科治療


1.脳血行再建術
[手術の適応となる方]
内頸動脈閉塞症、中大脳動脈閉塞症などの脳に血流を送る太い血管が閉塞した事による脳梗塞の患者さん。
内頸動脈閉塞症の患者さんの脳血管撮影

図2

*赤丸部分で内頸動脈が閉塞しています。

[概要] 
脳を栄養する大切な頸動脈が動脈硬化などにより閉塞して、脳への血流が低下してしまった場合に、その血流を補填するためにバイパスを作る手術。
脳梗塞の再発予防の治療の中心をなすのは、抗血小板剤、抗凝固剤と呼ばれる、血液をサラサラにするお薬です。
しかし、これらのお薬では足りないぐらい、重度に脳の血流が低下し、外科手術(脳血行再建術=脳の血流を増加させる手術)を必要とする場合があります。

近年、日本脳神経外科学会、日本脳卒中の外科学会が中心となって、『どの様な脳梗塞の患者さんに、脳血行再建術が必要なのか』に関する研究がなされました。それによると、次の様な患者さんには、脳血行再建術を行う事が、今後の脳梗塞の再発予防の効果があるとされています。 
①比較的症状が軽い脳梗塞の方。
②内頸動脈、中大脳動脈が閉塞している方。
③年齢は73歳ぐらいより若年の方。
④脳血流検査(SPECT、PETなどと呼ばれる検査)により重度の脳血流低下が確認された方。

ここで、大切なのは、この治療法は原則的に未来の脳梗塞の再発予防を目的としています。現在、脳梗塞の症状として存在する、半身不随や、感覚障害などの神経症状の改善は手術治療では望めないと考えて頂く必要があります。
しかし、脳梗塞自体が再発の可能性が高い病気であり、そして、再発した場合に、半身麻痺の様な重度の神経症状を起こす前に予防する事は大きな意味があります。

[検査] 
(1) 脳血管撮影(angiography、カテーテル検査)
脳に血流を送る血管がどの部分で閉塞、または狭窄しているかを調べる検査です。いわゆるカテーテルの検査で入院が必要です。

(2) SPECT(single photon emission CT、スペクト)
脳血流の検査です。脳への血管の閉塞により、どの程度脳の血流が悪くなっているかを判定します。

(3) 治療前後のSPECT検査
(オレンジ色の部分が血流が足りない、緑色の部分が血流が足りている部分を示します)

SPECT

*血行再建手術後に脳血流が改善し、オレンジ色の部分が消失しています。

(4) MRI (magnetic resonance imaging)
脳が以前の脳梗塞でどの程度損傷されているか、そして脳血管の狭窄部位などを検討します。
治療前後のMRA

術後MRI

赤い丸の部分の血管が閉塞していて描出されていません。血行再建手術後には脳への血流が再開しているのが解ります。

[治療法]
(1) 薬による治療
いわゆる、血液をサラサラにする薬を内服する事は、再発予防としてとても大切です。

(2) 手術による治療:脳血行再建術
代表的な手術として、浅側頭動脈中大脳動脈吻合術の手術前後の画像を以下に示します。
耳の前を通って、前頭部と頭頂部に向かう、浅側頭動脈という血管が頭皮にあります。この血管を剥離して、脳表にある、中大脳動脈と吻合(血管と血管を繋ぐ)して、中大脳動脈の血流を増やして脳血流を改善させます。

浅側頭動脈中大脳動脈合術

*赤いのが血管です。頭蓋骨を貫通して脳への血流が開通しているのが解ります。